あの日、私はいつものように朝の洗濯を済ませ、洗濯機から衣類を取り出してベランダに干しました。いつもと違っていたのは、急な電話が入って慌てて外出し、普段は必ず行っていた洗濯機の水栓を閉める作業を失念してしまったことです。仕事から帰宅した私を待っていたのは、玄関先で顔を曇らせて立っていたマンションの管理人さんでした。事情を聞くと、階下の部屋の天井から水が漏れており、私の部屋が原因である可能性が高いとのことでした。慌てて脱衣所に駆け込むと、洗濯機の周辺が水浸しになっており、給水ホースが蛇口から外れて水が勢いよく噴き出していました。その瞬間の血の気が引く感覚は、今でも鮮明に覚えています。床のフローリングは水を吸って浮き上がり、壁紙にはシミが広がり、何より階下の方の大切なピアノや家電製品を台無しにしてしまったという罪悪感に押しつぶされそうになりました。結果として、個人賠償責任保険に入っていたため金銭的な補償はある程度カバーできましたが、階下の方との人間関係には深い溝ができてしまい、結局私はそのマンションに居づらくなって引っ越すことになりました。この一件以来、私は洗濯機の水栓を閉めることの重要性を痛感しています。どんなに最新の洗濯機であっても、どんなに頑丈なホースであっても、形あるものはいつか壊れます。そして、その破壊は往々にして私たちが油断している時にやってくるものです。蛇口を閉めていれば、たとえホースが経年劣化で裂けたとしても、そこから流れ出るのはホースの中に残っていたわずかな水だけで済みました。しかし、水栓が開いたままだったために、水道局から供給される水が止まることなく数時間にわたって流れ続けてしまったのです。今では新しい住居で、洗濯機のスイッチを切るのと同時に必ず水栓を閉めるようにしています。あの時の後悔を二度と繰り返さないために、そして誰にも同じような思いをしてほしくないからこそ、私は周囲の友人にも口酸っぱく、洗濯が終わったら蛇口を閉めるように伝えています。
洗濯機の水栓を閉め忘れて階下漏水を起こした私の実体験