環境への配慮と水道料金の節約から、近年多くの家庭で導入されている節水トイレ。しかし、そのエコな性能の裏側で、従来のトイレでは起こりにくかった逆流トラブルのリスクが潜んでいることをご存知でしょうか。節水トイレの特性を正しく理解せずに使用していると、ある日突然、排水が流れなくなるという事態を招きかねません。 節水トイレが逆流を起こしやすい原因は、その名の通り「少ない水量」にあります。従来のトイレが一回あたり10リットル以上の水で勢いよく洗い流していたのに対し、節水トイレはその半分以下の水量で効率よく汚物を排出するように設計されています。この設計自体は非常に優れていますが、一方で、一度に大量のトイレットペーパーを使用した際などに、汚物を排水管の奥まで押し流す力が不足してしまうことがあるのです。その結果、配管の途中で汚物が滞留し、それが新たな詰まりの原因となってしまいます。 特に注意が必要なのが、古い建物の配管に最新の節水トイレを設置したケースです。古い排水管は、現在の基準よりも勾配が緩やかであったり、長年の使用で内部に汚れが蓄積して狭くなっていたりすることがあります。このような配管では、節水トイレの少ない水量では汚物をスムーズに流しきれず、詰まりや逆流のリスクが格段に高まります。 このトラブルを防ぐためには、節水トイレの使い方を少し意識することが大切です。トイレットペーパーは一度に大量に使わず、こまめに流すことを心がけましょう。また、固形物を流す際は「大」レバーを、液体のみの場合は「小」レバーを正しく使い分けることも、詰まり予防に繋がります。節水トイレは優れた製品ですが、その性能を最大限に活かすためには、その特性を理解した上での正しい使用が不可欠なのです。もし頻繁に流れが悪くなるようであれば、配管の状態を専門業者に点検してもらうことも検討しましょう。